クリーニング豆知識

クリーニング豆知識
業界のウラ話を、こっそりお話しします…。



長襦袢のシミについて

もうすぐ成人式ですね。皆さん準備は進んでいらっしゃいますか?
長襦袢のしみを気になさって、それだけを新たに購入、またはシミ抜きを希望される方がいらっしゃいます。
長襦袢は振袖の丈に合わせ作られているので、新しく用意するのに反物から仕立てたり、既製品を仕立て直したりと大変です。お召しになって見えるところ、半衿が新しければ、あとは着てしまえばほとんど見えません。
綺麗にクリーニングし、新しい半衿をつければ充分蘇えりますよ。



着るたびに着物クリーニングに出してほしいとは言いません。

お客様から着物クリーニングに出す頻度をよく聞かれます。
クリーニング屋がこんな事言うのは商売っ気がなくておかしいかもしれませんが(笑)
「着るたびに着物クリーニングに出してほしいとは言いません。」
では、いつ出したらいいか?着物でもその種類によって頻度は変わってきます。
まずお宮参りの祝着。こちらはお宮参りが終わりましたら出していただきたい。襟元のよだれなどの汚れを長い年月を保管するわけですから、お手入れが必要です。
次に七五三着物のクリーニングですが、必ず出していただきたい。
そのまましまって何十年も保管しましたら…どうなるでしょうか。
次に振袖ですね。こちらも七五三着物と同様です。

上記は着物クリーニングに出す頻度は?と聞かれたら必ず着たら出してほしいです。と言います。
しかし、着物は季節で種類が変わります。これはお客様の着付けの先生に教わったのですが…

6月から単衣の着物、小物は夏物など使ったりして先取りします。
7月8月は絽や紗、単衣は着れません。
9月に単衣の着物に冬物の小物。
10月から袷の着物。

※あと柄で季節を表すのが多いようです。

というように洋服と同じで衣替えの時期が着物にもあるわけで、季節の終わりに着物クリーニングに出すのが一番良いと思います。
とはいえ、これは日頃から着物を着ている人の話で、結婚式に着る留袖、訪問着、お葬式できる喪服着物。これらは着たら何年も保管することが分かっています。
その都度着物クリーニングに出して保管していただきたいです。というわけで着物クリーニングの頻度はそれぞれ違い、ポイントとしていかに保管が着物に良い状態を保てるかとなってきます。
着物を着ようとだしてみたら…しみが!カビが!では怖いし、着物の染み抜きが100%落ちるわけでは決してありませんからお手入れが大事になります。
私が最初に言った「着るたびに着物クリーニングに出してほしいとは言いません」と、言っていることが違うように思えますが、その着物、状態を見定めながら臨機応変に着物クリーニングを考えていただけたらと思います。



特殊加工について

着物の付加価値を高める為に、様々な加工を行ってきています。
名前もさまざまでお客様から「◯◯加工したから」とよく聞きますが業者さんによって違うので「あ~そういう名前の加工あるんだ~」とお客様にどんな加工か詳しく聞くと、どれもだいたい同じ加工なのです。
お客様だってお着物を買う時「追加料金になりますが、お着物の為にも◯◯加工した方が良いですよ〜!」なんて言われれば、大抵の方が「します!」と言いたくなりますよね。
そして安心する…。しかし、着用してシミができる、水じみができる。「あれ?おかしい…」
当店に持って来られるとき「◯◯加工したのですが…」と、がっくりして持って来られる。そしてご自分を責められます。

しまい方が悪いのか?
汚してすぐに処置しなかった自分が悪いのか?

とことんご自分を責める…。
もうね…責めるのやめましょう。着物はもっと気軽に着れるものです。そんなに責めたらご自身がかわいそうです。呉服屋さんと違った立場で特殊加工についてお話 したいと思います。

加工は撥水・撥油・防汚・防カビ・防虫と盛りだくさんです。加工に使用している樹脂は概ねシリコン樹脂、弗素樹脂等が利用されています。この加工がすべての絹物に加工していいのでしょうか。
特に撥水加工についてだけ考えても、雨の日に着る雨具ならいいですが呉服地に無差別に加工し「シミ汚れも付きません。」と夢のような加工が宣伝されています。
加工されている着物には絶対にシミや汚れが付かないのでしょうか?そんなことはないと思います。シミも汚れも充分すぎる程付く。シミがついてすぐなら軽く拭くだけで一見綺麗になります。日本茶・ビール・酒類等が出先で付いた時は大変便利です。ところがふき取った時は全く見えなかったシミですが安心してタンスの中にしまっておくとやがてしみをふき取った部分に黄変がおきる。
シミをふき取った時、綺麗になって見えるのは生地の表面だけであって、樹脂の隙間に入り込んだシミの成分はそのまま残っています。
従って後日必ずと言っても良いほど変色が起こる。問題は黄変が起きてからです。
樹脂加工がしてある方が加工していないものと比べて、はるかにシミが落とし難い。
シミの落ちづらくなる原因はシミが付いた時と同じで、加工された樹脂の隙間にシミがしみ込んでいる為に薬品も作用し難い。なお薬品を使った後のすすぎも非常に困難です。
さて、あまり利点のない物をどうして絹地に加工しなければならないのでしょうか?
絹は絹本来のしなやかな風合いと、人工的には出し得ない輝きが一番良いのではないしょうか。わざわざ美しい絹の表面に樹脂を加工して、化学繊維に作り変えなければならないのか。汚れもシミも付かない衣料があるいは加工できるのならクリーニングは全く必要ないということになる。しかし汚れやシミ付く付かないの問題ではなく雨具のは撥水加工は有効です。
着物でも全てに加工して良いものではないですが、着物を着る人の職業によって加工した方が良いと考えられることもあると思います。それは飲食業に関わる人の着物は、どうしても酒類のシミをつける機会が多いわけだから完全にシミがつかないわけでもありませんがその場は目立たない状態で処理できます。
ただし、一度でも酒やビールをつけた着物は、ふき取ってシミが見えないからといってしまい込んだら必ず後日、シミは黄変してでてきます。
全ての物は目的に合ったものでなければダメです。無差別に撥水加工・その他の効果らしきことを含めて付加価値を高めようとしても、結果は大道でその場かぎりの商いと同じ。
加工してる着物の染み抜きは◯◯剤を利用してからの染み抜きとなってしまいます。



着物をタンスにしまう方法

タンスの中に着物をしまうのに色々と決まり、考えがあります。
タンスは大切な着物の休息場です。タンスにしまっておいた着物は、何時までも着られるような状態で保存されていなければ意味がない。
普通、タンスに着物をしまう工夫として、つぎに着るときに便利なように用途別にしたり、羽織、帯と種類別に、また、小物は小物というふうに引き出しに納めている方もいます。
どのような方法が良いのか悪いのか、正しいか間違っているか簡単に言うべきではないことでもありますが、注意すべきことがいくつかあります。

① タンスには絹製品と、毛織物を一緒にしまわないこと。
毛織物を守るために入れた防虫剤で絹製品に悪い影響を及ぼします。

② 絹製品と一緒に化学繊維の製品を重ねてしまわないこと。
特に黒や赤等の濃色の柄があるもの、またポリエステル、アセテート類の黒留袖は、絶対に絹物とはしまわないでください。
分散染料は以前から昇華現象を起こすことで知られていますが一緒に重ねて引き出しに入れておくと、昇華した色が触れている面に印刷でもしたように移染する。この移染した色は大変落とすことが難しいです。広い範囲に移染したものは処理が不可能です。

③ 金糸、銀糸を織り込んだ帯、また金粉、金伯等を加工してある帯と一緒に、合成ゴム製、またはウレタンの入った帯板を重ねて入れないように!
引き出しの中で分解して、亜硫酸ガスが発生し、金属の加工を黒くなる程変化させる。防虫剤等を入れてあれば、その影響もあります。

④ 古くから、絹は虫が食べないと言われてます。
明治時代のある本にでさえ、古来より絹は虫が食わないと書してあったという。30年を越える着物とのお付き合いで、防虫剤を入れないために虫に食われたという絹の着物を見ません。
むしろ、虫の害から着物を守ろうとして入れた防虫剤で、着物がだめになったというのは、数多く見ています。



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